08

29

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メタボおじさんの旅~ハンサムネコ富士山100回登頂編~

2年前に信越完走して、ハセツネも完走した直後の健康診断でメタボ判定を受けたアレキは毎日30分のウォーキングをしましょう!なんて言われて、やたらバカでかい心拍計を支給された。

これね↓
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あれから1年。

世界は確実に進化している。

なぜならあんなにバカでかかった心拍計がこんなにシュッとなったからだ。
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ええ。昨年もメタボ判定受けましたが、それが何か?

心拍計は進化して軽量化を量ったぶん、体重は増加の一途を辿っていますが、それが何か?

さっき、体重計に乗ったら86.7kgだったぜ!
世界中のみんなにオレの体重をお知らせだぜ!

安静時の心拍数が90ってどういうことだよ!って感じだぜ!

そんなわけでハンサムネコさんの富士山100回登頂記念にお付き合いしたいと思い、8月19日に富士山へ行ってきました。
山頂に13時集合という決まりだけであとは自由。ネコさんは朝7時に御殿場口から登り始めるとのこと。

さすがに迷惑かけるわけにもいかないし、とにかく山頂で祝福したいと思い、朝4時に御殿場口に到着するも真っ暗で気持ちは萎え、4時50分にスタート。

って、さぁ。

御殿場口って他の登山口より1000mも標高低いのよ。

つーことはさぁ、1000mも余計に登るわけなのよ。

初心者が日帰りで御殿場口から富士登山は絶対にやっちゃダメ!ってガイドブックに書かれていたりするからね。

もう、オレ、今まで積み重ねてきたものなんて1ミリも残ってないからさ。
その辺のメタボな、それもメタボの本格派だからね。

登り始めて15分で、これやっちゃダメなやつだ、と思ったね。

そっからずっと敗戦処理ね。

続々と上ってくるハンサムネコ100回登頂記念をお祝いしようとするランナーの方々がすごい勢いで上ってきて、すぐに追いつかれる。

追いつかれたアレキの図。
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ぽんこさんがやってきて、みわっち隊がやってきて、ローラさんとホシヲ(敬称略)がやってきて
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もう、疲れて疲れて嫌になっちゃって、そこからはさらにグダグダ。
どうせ、グダグダしてればみんなが追いついて、みんなと会えるから急ぐ必要もないし、なんなら山頂行かなくてもいいし、なんて思いで休む、休む。

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怪盗紳士(敬称略)がちょっと信じられない速さでやってきて、平地を早歩きくらいの速さというか、階段を駆け下りるくらいの速さで歩いていて、そんで僕を見つけると手を振りながらニコニコと走り出して、そりゃもうびっくりした。

以前、怪盗紳士に向かって

「オレが体重57kgになったらすぐにサブスリー取れるね」

と言ったことを心の底から謝罪したいと思った(笑)

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その後もmakoさん、チャレさんとバカなの?って思うような速さで登る人々を見送りながら、ダラダラと上っていた。

のべさんも余裕で登ってきて、もう無理と言う僕に向かって、復活があるから、と言い残していった。

それ、のべさんの座右の銘だから(笑)

とにかくもう早くネコさんに会っておめでとうと言って、そして下山したいと思っていた。

ニシキさんとかDEGさんとかジョギンガー(敬称略)とかはじめましてのスギヤマさんも見送ってそれから休んで、そんで、そんなときにひときわ元気に登ってきた、ゆるりんさん、みんなの人気者ゆるりんさんに元気に話しかけられて、そして元気に記念撮影。
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一応、言っておくけどね。たぶんこの腹。気圧の関係だと思うよ。
ほらよく袋がパンパンになるじゃない?気圧だからさ。気圧。

お久しぶりにお会いしたカメさんにはずいぶんと育ちましたね、と言われた(笑)

その後も変わらず、体調不良のR2さんにも追いつかれ、そしてとうとうネコさんが下に見えてきた。
この日主役のネコさんはなぜだかスイーパーという役目を仰せつかっていた(笑)

まぁ、そこもネコさんらしい。

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最後尾を入れ替わり、ネコさんスイーパーと一緒に上り始めるも、高山病なのかメタボ病なのかよくわからないけど吐き気がひどくて水しか飲めないけど水を少し吐いたりして、で、なんとかゆっくりとでも山頂へ行きたいなぁ、と思いつつも、そこまで頑張れる気力も体力もなく、ネコさんには悪いけど途中であきらめ、下山することにした。

ネコさんの100回目を山頂でお祝いしたかったけど、でもそんな体力も気力もなかった現状のアレキの力。

いろいろとご迷惑をおかけするだけで、本当に悪かったなと思う。

何とか、200回目のときには僕がスイーパーをやろうと思う。

だから、ネコさん、200回目もよろしく。

山にいる、それも富士山にいるネコさんはとてもかっこいいな。

ホントにおめでとう!
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07

30

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富士登山競走の応援

7月は土曜出勤をよくしてて、だから、ほら、代休とか取りなさいとか言われてて、あれ?そんじゃ、あの平日に行なわれる、あのレースの応援に行けたりしちゃうんじゃねーの?と思って、だからほら




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来ちゃった(笑)

で、これって普通のマラソン大会と違ってどこで応援するにも自分の脚で山を登らなくちゃいけなくて、さすがに山頂は無理!絶対無理!ってことになったけど、それでも1時間半くらい登ってたら、あまりに辛くて自然と涙が出た。


で、どうにか着いて、オレはもう一歩も動かねーぞ!と思った。


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で、すぐにトップの選手がやってきて、まあ、薄々は知っていたけど、本当に富士山を走ってた。

僕が、つい先ほどヨレヨレのヘロヘロになってキロ25分ペースで登ってきた山道を当然のように走ってた。

マジ、かっこいい、と思った。

その後もやっぱみんなかっこよくて、そんな姿を見ていると、なんかこっちがいろいろもらいすぎるから、少しでも返せねぇかなぁ、と思いながら、手叩いて、声かけた。

ぐわTの人がやってきて、声をかけた。
それにしても富士登山競走にぐわTってシュールすぎる。

この姿をぜひ、ぐわT販売でボロ儲けしていた、あやたさんとるみおかんさんに見てほしいと思った。

あっ、いや、ボロ儲けはウソです。たぶん(笑)

で、変態と言われてるmakoさんがやってきて、でもレース自体も変態だから、すごくその場の風景に溶け込んでいらして、それはそれですげえなと思った。

そのあとはまたもや、ぐわTのやべっちさんとか、かまかまさんとか、ぞりおさんとかに声をかけることができて、まんちんさんとbgさんは通り過ぎてから気づいたから声をかけられなくて、あとはネコさんを待つのみとなった。

いや、ここ一年くらいのネコさんのやる気が、他人のくせになぜだか僕は嬉しくて、いや、僕は相変わらず何もしていないのに、いや、だからこそ、ネコさんの応援をするのを楽しみにしていた。

ネコさんは痩せない自分を嘆いているけど、その痩せない大型ランナーのネコさんがどれだけ全国の大型ランナーに勇気を与えていることか。

痩せたランナーはただのランナーだ。

あっ、いや、全ランナーの9割に該当するであろう痩せたランナーさん、ごめんなさい。

そんなことを思いながらネコさんを待っていた。
レース前に体調を崩したようだから、今回は苦戦しているようだったけど、それでもネコさんはやるだろうとしか思えなかった。

ま、あんなギリギリの痺れるような展開が続くとは思ってなかったけど。

ネコさんはやっぱりなんかオーラみたいなものがあるので、やって来たときはすぐにわかった。
五合目の関門ギリギリだったと仰っていたけど、これから先はネコさんの本領発揮区間でもあるので、よりいっそうの声援を送った。

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ネコさんが通り過ぎてすぐにランナーはもうやってこなくなったので、本当に関門ギリギリだったんだな、と思った。

その後は五合目コースへ向かい、ゴールの250mくらい手前のロードになるところで応援した。
五合目コースはスピードが全然違うし、ロードの延長という感じで、山頂コースとはまったく違う競技に思えた。

女性1位の人がネコさんのお友だちだということはわかったけど、ホント信じられないほど速かった。

ここでも、ぐわTの人がいて、声をかけたけど、その人も速かった。
この姿をぜひ、ぐわT販売でボロ儲けしていた、あや~以下略。

みそらさんがさ、富士登山競走に似つかわしくない美白な感じで駆け上がってきたときはちょっと惚れそうになった(笑)
つーかさ、あの人ってばたぶんリミッターはずれちゃうような走りをできるような人なんだな、と思った。
だから直前にケガしようが体調崩そうが、限界を超えた走りができちゃうんだろうな。

美白なのか追い込み過ぎて顔面蒼白なのかあれだけど、とにかくかっこよくて惚れそうになった(笑)

マル夫さんも速くて、しかも満面の笑みで声援に応えてくれて、なんかすごく楽しんでたな。あんなきつくて意味不明なレースなのに。

今回初めて富士登山競走を見ることができたけど、やっぱり意味不明で過酷なレースだよな。
それでもみんなかっこよくて、すごくて、なんかいろいろ思うことがあった。
こんなレース出たいとはまったく思わないけど、でもまた機会があったら応援に行きたい。

坂道は登るものじゃない、走るものだ

富士登山競走の応援をしているときに前を通り過ぎるランナーの人々を見ていてそう思った。

あっ、いや、もちろん僕はキロ25分で歩くものだ。
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06

24

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GO FOR IT 富士登山競走試走 その4

昔、マイコースシリーズってのをやっていたときに、ブログとかやってない人も参加してくれたりしたんだけど、それに参加したことをきっかけにブログを始めてくれたりして、けっこう嬉しかった覚えがある。

まんちんブログ始めました

@@@@@@@@@@

あと2人だ。

そんなことを思いながら何度も何度も後ろを振り返る。

まぁ、でも、順当に言えば、ネコさんだろう。
今朝、久しぶりに会った時には、その身体の厚み具合にかなり驚いたけど、それでもここは富士山だ。
ネコさんだろうな、と思ってた。

だんだんハイカーの方々を抜いていくのもつらくなってきたな、と思いながらなんとなく後ろを振り返ると、そこにはキクチヒロシさんがいた。

官九郎くんの言うとおりだった。撃沈していた。
マラソンシーズンに撃沈しました!って言う人がよくいるけど、ああいうビジネス臭のする撃沈とは違っていた。

キクチヒロシは完全に純粋に確実に撃沈していた。

死んだような表情。全身の力が入らないのだろう気怠い動き。スローモーションにしか見えない脚さばき。周りの景色など見えていないかのような虚ろな目。

生気というものがまったく感じられない。

それでも、この日この時この場所で、できうる限りのスピードで止まることなく進み続けているのはわかる。

いいな。

いいぞ、キクチヒロシ。

今回誘ってよかったな、と思った。

でも、問題は…。

そんなキクチヒロシさんの歩きに僕がついて行けずに、普通に抜き去られてしまったことだ。

なにが、いいぞ、キクチヒロシだ?

坂の下から、キクチヒロシを見上げながらの上から目線ってどういうことだ?

目深に被った石ころ帽子をこめかみが痛くなるくらい、きつく被り直した。

そんな時に後ろから圧というか熱というか気を感じたので振り返るとそこにはネコさんがいた。

僕やキクチさんのいる場所と重力が違うんじゃね?と思うような速さで迫ってくる。
今までの遅れを取り戻すべく、山に入ってからスイッチが入ったのだろうか?

全身からオーラのように湯気が立ち、力強く、そしてすごいスピードで上ってくるハンサムネコさん。
普段より大きく映る分厚い上半身。

マジで、その姿はラオウかと思ったほどだ。

ネコさんは一瞬で風のようにいなくなり、そしてキクチヒロシさんの歩みにも付いていけずに、また、いつものように僕の周りには山の静寂だけが残った。

その後は一気に力が抜けて、ハイカーの皆さんを抜いていく気力も出ずに、しばらくおばあさん二人組みのハイカーとお話しをしながら上った。

その間も試走をしているランナーにガンガン抜かれまくり、その度におばあさんたちと道を譲った。

道を譲るたびにおばあさんたちは、あなたは先に行かなくていいのかね?みたいなことを目で合図してきたけど、いや、いいの、いいの、僕はこちら側の人間だから、と目で返した。

そんな感じでグダグダでただの坂の途中で3分の1残ってたコーラも飲み干してしまい、さらには下山したふらっとさんともすれ違い、ようやく四合目までやってきた。

昨年、☆ponkoさんとiwatobiさんと試走に来たときも浅間神社からスタートしたのだが、その時の僕はこの四合目の石の上に座りそのまま動けなくなり、下山してくる二人を待っていた。
その時の身体の仕上がりっぷりが今とそっくりだ。

そんなわけで懐かしの石の上に座り、石と一体になることで石ころ帽子最終形態になろうとしていた。
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06

23

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GO FOR IT 富士登山競走試走 その3

キクチ、撃沈してるってよ。

その言葉が僕の耳に届くか届かないかのうちに、官九郎くんの後ろ姿はみるみる小さくなり、やがて見えなくなった。

キクチさんが撃沈。
トレイルに入ってすぐに官九郎くんがやってきているのだからロードですでに撃沈してるってことなんだろうか?

まぁ、でもそれも含めて楽しめばいいんじゃないかな。

今回の試走については4月頃にすでに日程を決めていて、ネコさんとかみそらさんとか富士登山競走に出る方々には声をかけていた。
その後、ロード主体のランナーに声をかけてみるのも面白いかもしれないな、と思い、最初に声をかけたのがキクチヒロシさんだった。

いや、キクチヒロシさんを誘いたくて、それならロード主体の人々も誘ってみようかと思ったのかもしれない。

ま、どっちでもいい。とにかく4月の終わりごろ、僕はキクチヒロシさんに富士登山競走のコースを走ってもらいたいな、と思ったのだと思う。

うんざりするほど続く坂道を走り続け、さらには全く興味がないであろう山道を登り続け、いろんなものを呪いながら、いろんなものに毒を吐きながら、いつまでも続く絶望感に浸って、もうこんなとこ二度と来るか!と思い続け、それなのに、なぜだか2、3日経つと、それが美しい思い出に変わるという感覚を体験してもらいたいと思ったのかな。

いや、よくわかんない。そもそもそんなこと本人が思うかなんてわかんないし。

ま、とにかく目の前の坂道と対峙しなければと思いながら先へ進む。

このコースはさすがに富士登山競走の試走をしている方がたくさんいらっしゃって、またそのレースに参加される方々だからアスリートっぽい方々がほとんどで、だからそういう方々にも延々に抜かれ続ける。

とりあえずまだハイカーの方よりは早いようなので、オレは高速ハイカー、だからランナーに抜かれ続けてもメンタルはやられない、と自分を鼓舞しながらタラタラと上り続ける。

そんな感じで上っているとマル(夫)さんがやって来た。
かなり手前からでもわかるくらいニコニコしながらやって来て、いやぁ、これはきついね~とよく通る声で仰りながらも、なぜか満面の笑みという不思議な組み合わせで山道を登ってきた。

さっきの官九郎君といい、マル(夫)さんといい、なんだ?この楽しそうな感じは。
さっきから僕は苦痛に歪んだ顔しかしていないっていうのに。

終始ニコニコ顔で、そのニコニコ顔の残像を残したまま、マル(夫)さんは先へ行った。

その後も見知らぬアスリートの皆さんに抜かれ、下山する見知らぬアスリートとすれ違い、それにしてもこの山道、アスリート率高過ぎ!と思いながら歩く。

まんちんさんもやってきて、まんちんさんもニコニコというかニマニマしながらやってきたけど、それは楽しくてニマニマしているというよりは、様々な感情を表した複雑なニマニマだったので少しホッとした(笑)
極度な照れ屋はその表情で感情を表現するのだろう。

おじいさんやおばあさんたちがツアーなのかインストラクターを従えて歩いている団体もいくつかあって、もちろん富士登山競走の試走なんかじゃないから、完全にハイキング仕様でとても楽しそうだった。

そんな団体と同じくらい楽しそうな表情で、みそらさんとす~さんが山道を駆け上がってきて、きゃぴきゃぴした声で、アレキさ~ん!って声をかけてくれた時は彼女たちの底が見えない走力に本気で恐れ慄いた。

お二人とも常に本気出す、といったタイプのランナーなのだが、そんな二人が一緒に現れたことで今日は少しだけ違う楽しみ方もしているのかな?と思った。そうでなければハイキング仕様のアレキさ~ん!って声は出ないだろう。

しかし、後日お二人の記事を見てさらに恐れ慄いた。
スタートから馬返し。馬返しから五合目までのお二人のタイムはそれぞれ数分の開きがある。
つまりお二人は常に本気で自分の限界と戦っていたのだ。
そんな戦いの中での、つかの間の二人一緒の場面であり、つかの間のアレキさ~ん!だったのだ。
なんて人たちだ。

改めて、今日、集まって今まで僕を抜いていった人々を思い返しているうちに、その彼らがあまりに恐ろしく思えてきた僕は、石ころ帽子を目深に被りなおした。

まだ僕を抜いてない人は誰だ?

あれ?

キクチさんとあともう一人。

このとき、すでに僕は富士登山競走試走に来た人ではなくて、富士登山競走試走に来た人々を見届ける人になっていた。
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06

22

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GO FOR IT 富士登山競走試走 その2

結局、総勢13名の参加になった。


ハンサムネコさん、ふらっとさん、キクチヒロシさん、マル夫さん、官九郎くん、まんちんさん、みそらさん、す~さんがスタート地点である富士吉田市役所から五合目往復の計30kmの基本ルート。

オプションを選択されたチャレさんは中の茶屋~山頂。
プロシードさん、riverさんは浅間神社~山頂というルートでそれぞれ別行動になった。

さらに僕とマルさんはユルチームを結成し、スタートから3km先の浅間神社からスタートすることにした。

まぁ、これは業界用語でいうところのアレキ待ちを少しでも軽減させるための処置だ。おミソでおマメで石ころ帽子からすれば当然の処置だ。
このハンデによって少しは楽になるものの、逆に後ろから追われるプレッシャーも背負うことになる。

考えてもみて欲しい。後ろからとにかくロードやらトレイルやらの猛者どもが追いかけてくると思うと気が気でいられない。

そのためスタート時間は8時45分で合わせようとスタート地点組から言われていたのに、浅間神社でスタート時間を待っている間に、その迫りくる恐怖に耐えられなくなって8時40分にスタートしたことは内緒だ。

そんな感じで走り出す。

マルさんには気を使わずに先へ行っていいですよ、と言うと、しばらくは気を使って並走してくれていたが、やがて体が温まってきたのかどんどん小さくなっていった。
それにしても真っ直ぐな上り坂なので遠くまで道を見渡せることが余計うんざりさせる。

他の方はみんなとにかく馬返しまでは歩かない!とか馬返しまではきっちり走る!とか目標を持っていたようだけど、僕は開始3kmで早々に歩いた。

最近、アレキさん歩きすぎだよね。もうあれじゃね?アレキじゃなくてアルクでいいんじゃね?と言われていることは薄々気づいてはいる。

しかし、あんな坂道を歯を食いしばって走ることなど不可能だ。そもそもレース出ないし。さらに言えば今日のこの試走だって、道端の石ころ気分だし。

そんな感じで早々に歩き交じりで進む。マルさんはすでに見えない。怖くて何度も後ろを振り返る。

中の茶屋を過ぎると本格的に歩く。
まぁ、レースに出るのであればここも走れないと話にはならない。でも僕は道端の~以下略。

しかし、さすがにアルクと呼ばれるだけのことはあって、この中の茶屋の先あたりから今シーズンようやくちゃんと歩ける感覚が戻ってきた。

歩ける感覚ってなんだよ?だからいつまで経ってもアルクなんだよ!って思われるかもしれないが、まぁ、上り坂をきちんと歩けることは僕にとってかなり重要なことで、その感覚は今シーズンまだ一度もしっくりとくることがなかった。

なのでちょっとウキウキしながら歩く。そしてビクビクしながら振り返る。

馬返しまでオレは今、いい感じで歩けてる。ひょっとしたら走るより早いかもしれないと自分に言い聞かせながら歩いていると、当然のことながら、ふらっとさんに追いつかれた。

馬返しにたどり着く最後の急な坂道を、あんなに軽快に走っている人を初めて見た。

そのまま、ふらっとさんを見送ると、いつの間にか階段に腰を下ろして、五合目でご褒美に飲もうと思って持参したコーラの蓋を開けていた。

コーラをグビグビ飲んで、うめぇ~なんて思いながら残り3分の1で我に返り、これを飲み干したら楽しみがなくなっちまう、と思った。

いっそのこと、ここで折り返して帰ろうかな。だいたい五合目の佐藤小屋なんてなんの眺望もないし達成感などありゃしない。
今から折り返したらゴールでまたふらっとさんに追いつかれてちょうどいいんじゃないかな?

しばらく考えていたけど、とりあえず残り3分の1のコーラをリュックにしまって先へ進んだ。

馬返しから先はトレイルだが昨年よりさらに急な傾斜になっているようで(?)その聳え立つ感じにうんざりしていると官九郎くんがやってきた。

官九郎くんは心なしかウキウキしていて、ちょっと会話をすると、その聳え立つ壁を駆け上がって行った。

ちょっ、ここ走るの?

恐るべしロードランナー。トレイルとか関係ないな。

官九郎くんはその壁を駆け上がる瞬間、目の前にある壁から目は逸らさずに、後ろにいる僕に話しかけた。



キクチ、撃沈してるってよ。

(注:若干脚色)

坂道を駆け上がる官九郎くんに見惚れながら、僕はその言葉の意味を考えていた。
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